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逢香の華やぐ大和 Valley(奈良県上牧町)

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繊細作業重ねて完成

職人技光る縫製工場

 書家の逢香さんが奈良の魅力を再発見する「逢香の華やぐ大和」。2021年3月の連載スタート以来、丸3年を数える。今回は新年度に向けて「衣装を新しくしたい」と、上牧町の縫製工場へ。布地が服になるまでの職人技に触れ、一着への思いもひとしおだった。(高橋智子)

 

衣装づくりのため、縫製工場に来た逢香さん。左は谷英希社長=写真はいずれも5日、上牧町上牧

 

上牧町の縫製工場へ

 「服づくり、楽しみです!」。新しい衣装を作るため、上牧町の縫製会社「Valley(ヴァレイ)」にやってきた逢香さん。3階建ての縫製工場「Valley Kichi(ヴァレイ・キチ)」の1階の広々とした空間には、金髪の若いスタッフがパソコンに向かう姿や、熟練のたたずまいの職人が黙々と作業台に向かう姿が見える。

 

工場を見学

 同社の製造は全てメイド・イン・ジャパン。服作りにはパタンナー、裁断士、縫製士など、工程ごとに専門の職人が携わる。河合町出身の谷英希社長(34)に、まずは工場を案内していただいた。

 

 工場1階ではこの道25年の職人が、建築にも使うレーザー光の墨出し器で布地のチェック柄と型紙の向きを合わせ、円形カッターで正確に裁断。「切るのって難しいんでしょうね…」と素早い職人技に見とれる逢香さん。1ミリの誤差でサイズがずれる、繊細な作業だ。

 

正確に素早く布地を裁断する職人技

 

 2階には糸やボタン、ファスナー、布地などの資材を保管。糸は、同じ一色でも素材や太さ、伸縮性が異なり、布地の特性によって使い分ける。「東京やパリのコレクションに出すデザイナーさんの服も作るので、見たことのない素材も多いです」と谷社長。

 

布地の色や性質に合わせ、多彩な糸がそろう

 

 3階はデザイン画から型紙を起こす作業や、ボタンホールなどの特殊ミシン加工、検品検針を担う。同社は全国にいる在宅の縫製職人約300人にミシン縫製を分業。職人が子育てや介護を両立できる環境と聞き、逢香さんは「服作りの働き方改革ですね!」と感心。奈良で孫の面倒を見ながらパリのコレクションに出すデザイナーの服を作る職人もいるという。

 

型紙を印刷する大きな機械

 

新しい衣装づくり

 今回の服作りで逢香さんは事前に同社と相談し、縫製工場で作っていた2重襟のワンピースをアレンジしてもらうことに。逢香さんは、墨が付いても目立たない黒色、年中着られる厚めの布地を希望。さらに青緑を差し色に選び、襟の一部やボタンの留め糸、ポケットにイラストとして配色した。ボタンはアンティーク風の金属ボタンをセレクトした。

 

工場と相談し、デザインや布、ボタンを決めた

 

 ポケットには逢香さんが描いた下絵を転写印刷。谷社長の姉で、縫製指導員の鎌田由衣さん(38)に教わり、業務用ミシンでポケットの縫い付けにも挑戦した。最後の仕上げに関わることができ、「やったー! うれしいもんですね」と感激。特別な一着となった。

 

業務用ミシンでポケットを縫い付けて完成!

 

衣装の仕上がりは?

 完成した黒のワンピースに袖を通した逢香さんが現れると、「かっこいい!」「似合ってる!」と同社のスタッフ。2重襟やシャツを重ね着したようなデザインに青緑の差し色を効かせ、「アーティスト感ありますね。シックな感じで仕上げていただきありがとうございます!」と逢香さん。生地色やボタンを選び、ミシンの大変さも体験し、「服作りの良さを感じました」と大満足の様子。「4月からの華やぐ大和の衣装になります! 頑張ります」とガッツポーズで締めくくった。

 

「4月からの衣装になります! 頑張ります」とガッツポーズの逢香さん

 

ミニファッションショー

 同社の提案で、逢香さんは工場で作るほかの洋服も着てみることに。「ちょっとお恥ずかしいですが…」と、普段着ないタイプの服にも挑戦した。

 

 着用したのは、リボンタイがきちんとした印象の茶色系チェック柄ワンピース▽黒白バイカラーのブラウスと袴(はかま)風エプロン付きのスカート▽ふんわりかわいらしい印象の緑色系の花柄ブラウスとスカートのセット―。

 

 黒白バイカラーのブラウスが「書家っぽくないですか~」と逢香さん。花柄の上下は「着たことがないタイプ。着てみるとテンション上がりますね」とスカートの裾をひるがえした。

 

 

逢香の目

 新しく作る黒いワンピースのポケットに、イラストを入れることにした逢香さん。下絵は筆と墨で描いた。

 

 描いたのは、逢香さんオリジナルの妖怪キャラクター「鬼娘(おにむすめ)」。「頭に角が生えている鬼娘は、普段はそれを人に見せずに隠し秘めているキャラクターなんです」。自身を投影しているとか。胸元に逢香さんらしいワンポイントが加わった。

 

ポケットのワンポイントに「鬼娘」のキャラクターを描いた

 

メモ

◆ヴァレイ本社
 上牧町桜ヶ丘1丁目8の5松井ビル2のC
 電話0745(31)5156

 

◆縫製工場ヴァレイ・キチ
 上牧町上牧2209の1の1の4
 電話0745(31)5156

 https://www.valleymode.com/

 

◆書家/逢香(おうか)

 奈良市在住。6歳から書道を学び、奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修在学中、個性豊かな妖怪に興味を持ち「妖怪書家」として活動。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字や、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛けた。奈良市観光大使。3月12~17日、大阪府立江之子島文化芸術創造センターで個展「Моnоmоn展」を開催。ギャラリートークは16日午前11時30分から。入場無料。

 

 

 

 「逢香の華やぐ大和」は奈良新聞社とNHK奈良放送局のコラボ企画で毎月1回掲載。NHK「ならナビ」(午後6時30分~)内で3月12日に放送されます。

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