特集奈良の鹿ニュース

特集記事

OSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」4月 大阪松竹座で - トップコンビ楊&舞美 最後の『春』

関連ワード:

8月同時退団の楊&舞美、最後の「春のおどり」

 OSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」が4月6日、大阪松竹座(大阪市中央区)で開幕。同公演は2024年8月に同時退団するトップスター楊琳(やん・りん)と娘役トップスター舞美りら(まいみ・りら)が出演する最後の「春のおどり」となる。

 

取材会にのぞんだトップスター楊琳(前列右)と娘役トップスター舞美りら(同左)。(後列左から)唯城ありす、壱弥ゆう、白藤麗華、華月奏、千咲えみ、翼和希、城月れい、椿りょう=1月24日、大阪市内

 

 

和洋のレビューで魅力満開

 今年の「春のおどり」は和洋のレビュー2本立て。

 

 第1部は上方舞山村流六世宗家・山村友五郎が構成・演出を手がける和物レビュー「春楊桜錦絵(ヤナギニハナハルノニシキエ)」だ。

 

 暗転の静けさの中、ひとりの娘役がアカペラで高らかに響かせる「春のおどりは~ヨーイヤサァ~!」の歌声を合図に拍子木が鳴ると、一斉に照明が灯り、勢ぞろいしていた華やかな装束の劇団員が照らし出される…。OSK名物『チョンパ』の幕開きは2年ぶりのお楽しみ。幕開きの元禄若衆の舞いから久しぶりの民謡メドレー、男役の勇壮な殺陣、二枚扇の華麗な娘役の舞いなど和物レビューの決定版を楊による荘厳な舞いで締めくくる。

 

 第2部は宝塚歌劇団出身で、多彩な作品の脚本・演出を手がける荻田浩一の構成・演出による洋舞レビュー「BAILA BAILA BAILA (バイラ・バイラ・バイラ)」。あやめ池時代からOSKの舞台を熱心に観てきたという荻田が、情熱的なラテンの幕開きから『踊りのOSK』の魅力をたっぷり詰め込んだダンスレビューショー。タイトルはスペイン語で「踊れ、踊れ、踊れ」の意味という。

 

 楊のルーツである中国の宮廷を舞台にした幻想的な場面や楊と舞美のデュエットダンス、スピードとパワーのラインダンスからトップコンビへの惜別を込めた感動のフィナーレへと続く。荻田はNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」の舞台シーンの演出も担当しており、「ブギウギ」のシーンも新たな演出で盛り込む。

 

「春のおどり」取材会の様子=同

 

 

感謝の思いを受け継いで

 横浜市出身の楊は2007年4月、大阪松竹座「レビュー春のおどり」が初舞台。入団のきっかけは2004年、66年ぶりに大阪松竹座で復活した「春のおどり」を観劇し、そのエネルギーに圧倒されたことだった。

 

 OSKは1922年、翌年の大阪松竹座開場に合わせて誕生。「春のおどり」は1926年に始まった。その後、経営母体の変遷などにより長らく途絶えていたが、OSKが存続の危機に直面していた2004年、関係者の尽力で復活。『生まれ故郷』大阪松竹座での公演は、OSKが危機を乗り越えるための大きな力となった。

 

 「春のおどり」取材会で「新生OSKの成長について」と問われた楊は「一番分かりやすい成長は劇団員の人数が増えたこと。皆さまのおかげで東京や京都など各地で公演させていただけるようになり、OSKを見てもらえる機会が増えたことで研修所を受験する子が増え、私と同じく舞台に魅了された子たちが今は劇団員として、同志として一緒にがんばっていること、とてもうれしく思います」と話した。

 

 続いて「後輩たちへのメッセージ」を求められた楊は「私自身は署名運動などの存続活動は先輩方のお話を聞くのみで体験していないのですが、『ファンの皆さま、支えて下さる皆さまのおかげで、今ある劇団なんだ』ということを忘れてはいけない。感謝の気持ち、舞台への情熱をしっかり引き継いでいって欲しいと思います」と力強く語った。

 

取材会で思いを語る楊=同

 

 

ダンスのOSK、永遠に

 舞美は京都市出身。2010年4月、大阪松竹座「レビュー春のおどり」で初舞台。バレエで培った抜群のダンス力を誇り、まさに『踊りのOSK』を象徴する娘役として数多くの名場面をのこしてきた。

 

 そんな舞美の「後輩たちへのメッセージ」は「上級生の方に教えていただいたことを自分が少しでも体現できたら、という思いで必死で走り続けてまいりました。今、下級生に自分が伝えられることは少ないかもしれないのですが、『踊りのOSK』というのは絶対に守り続けて欲しい。自分がダンスが一番、好きだったので、みんなにも『踊りのOSK』を守っていって欲しいと思います」。時折、こみ上げるもので声を詰まらせながらも、笑顔を絶やさずに語った。

 

取材会で思いを語る舞美=同

 

 

一瞬一瞬を大切にしたいから

 2021年4月のトップ同時就任から3年。コロナ禍による相次ぐ公演中止に遭遇した2人でもあり、「もう少し2人のステージを見ていたかった」というファンの声もあるが、楊はトップ就任時にすでに退団時期を決めていたという。

 

 「ゴールを決めてのぞんだ方が、より充実した舞台人生になるのではないか、と思いました。ゴールがある方が一瞬、一瞬を大切にできるのではないかな、と思ったんです」と楊。

 

 同時退団は若手時代から相手役として舞美と組むことが多かった楊からの提案だった。

 

 「実は、舞美さんには『良かったら一緒に卒業しませんか』と私からお声がけをさせていただきました。本当に長く一緒にやってきて、見送るのも、見送られるのも寂しいな、と思ってしまって。『それならば、ぜひ』ということで、こういう幸せな機会に恵まれました」と楊。

 

 舞美も「私ははっきりとした(退団)時期は決めていなかったのですが、楊さんとご一緒にこの立場(トップスター)をいただき、『いつでも卒業できるぞ』と覚悟を決めていました。楊さんからご卒業されるとお聞きし、ご一緒できるなら、ということで(退団を決めた)」と明かした。

 

取材会のひとこま=同

 

 OSKは歴史的にトップコンビを厳密に決めず、適材適所で劇団員の魅力を最大限に引き出す配役をしてきた。そんな経緯もあり、トップコンビの同時退団は、長く国民的スターとして人気を誇り、1973年、「創立50周年記念祭典」の成功を見届けて舞台を去った大先輩、秋月恵美子&芦原千津子コンビ以来かもしれない。ちなみに50周年記念祭典にはブギの女王・笠置シヅ子や日本映画界に大きな足跡を残した大女優・京マチ子らOGも特別出演している。

 

 

人が桜か、花が吹雪か

 コロナ禍でのトップ就任、創立100周年の節目、そして「ブギウギ」旋風……。取材会では波乱万丈ともいえる楊のトップ時代を振り返る質問が続いた。一問一答形式で少し振り返ってみる。

 

―コロナ禍を振り返って思うことは。


 大阪松竹座での100周年記念公演の公演日数がコロナ禍で極端に減ってしまい、悔しい思いはありましたが、(全公演中止となる公演もある中で)上演することができたので今は感謝の気持ちしかございません。

 

―100周年の節目にトップスターを務めたプレッシャーは。


 めちゃくちゃ緊張はしましたが、私ひとりで背負っているのではなく、ファンの皆さま、劇団員のみんな、そして、支えてくださるたくさんの方々が一緒にいてくださる。だから(喜んでくださる)皆さまのうれしさが何よりうれしかった。また、大阪松竹座での100周年記念式典の時、劇場に根付いている先輩方の魂だったり、思いだったりっていうのは、必ずあるって感じました。

 

取材会のひとこま=同

 

―OSK人生の中で辛かったことは。


 辛いことは案外なくって…面白い話しか出てこない。辛いといえば…ダイエットですね。私、白いご飯が大好きなんです。退団の翌日は好き放題、白米を食べるというのが夢です(笑)

 

舞美 辛かったこと…それは現在進行中。自分の実力以上のものを求めていただくことが多かったので、常に自分自身との戦いです。でも、大好きな舞台のお仕事のための苦しみというのは他では味わえないもの。これは、卒業する日まで、感じておかなければならないものだな、と思っております。

 

取材会のひとこま=同

 

―一番、思い出される景色は。


 100周年記念式典の最後に全員で『桜咲く国』を歌った時、ものすごくたくさんの桜吹雪が舞って、客席の皆さまのお顔が見えなくなりました。『桜咲く国』の二番に『人が桜か、花が吹雪か』という歌詞があるのですが、まさにこういうことなんだ、って思いました。

 

舞美 これも常に進行していて、新しい舞台を重ねるたび、いろいろな思い出、お客さまの笑顔が更新されていきます。それがもっと増えていけば嬉しいなって思います。

 

 

愛あふれる仲間たち

 取材会には「春のおどり」に出演する劇団員から8人が出席。それぞれ楊&舞美に言葉を贈った。

 

 きっと8月まであっという間じゃないかなと思います。一瞬一瞬、一秒一秒を大切に。私自身、できることをしっかり務めて参りたいと思います。 唯城ありす(ゆしろ・ありす)

 

 お二人が安心してご卒業されるように、微力ですが、公演の成功に力を尽くす所存です。たくさんお話したいことはあるのですが、8月まで胸にしまって頑張ってまいりたいと思います。 椿りょう(つばき・りょう)

 

 楊さんに「壱弥、しっかりしたな」って思っていただけるように、舞美さんには「(男役なので)弟、しっかりしたな」って思っていただけるように。お二人を明るくお見送りできたらいいな、と思っております。 壱弥ゆう(いちや・ゆう)

 

 私は楊さんの一期下、舞美さんの一期上なんですが、ここでは言えないようなことしか思い出がなくて(笑)。今はまだ、実感がないのですが、8月の千穐楽ごろには特別専科の桐生麻耶(きりゅう・あさや)さん、朝香櫻子さん(あさか・さくらこ)さんの思いも全部込めて、思いを伝えられたらいいな、と思います。 城月れい(きづき・れい)

 

 私は楊くんの一期上という立場なので、トップスターに就任した時から後ろで何か力になれたら、とずっと思ってきました。今回、久しぶりの和物レビューがある「春のおどり」で一緒に舞台に立てることが何より幸せです。みんなで、最高の状態で、華やかに見届けられるように努めたいと思います。 白藤麗華(しらふじ・れいか)

 

 お客さまのこと、支えてくださる皆さまのことを第一に考えていらっしゃるお二人にお言葉をいただくたび、自分の心に刺さるものがあります。卒業されるその日まで、穴が開くくらい、しっかりお二人を見つめ、吸収できることをすべて吸収して「今のOSKはこれだ」というのを見ていただけるよう、精一杯、頑張ります。 翼和希(つばさ・かずき)

 

 一期上の楊さんと一期下の舞美。本当に寂しい思いですが、何より、安心して卒業できる状況を作るのが、残る立場の自分に出来ることかな、と思います。たくさん踊りそうな公演でもあり、誰もけがなどで欠けることなく、お二人を笑顔で送り出せるような舞台を努めていければと思っております。 華月奏(はなづき・そう)

 

 お二人とご一緒に責任ある立場(娘役トップスター)をいただいたのは、本当に光栄なことだった、幸せなことだった、と今あらためて思っております。残り半年ほどになってしまいましたが、いっぱい、いっぱいお二人からエネルギーを吸収させていただいて、精一杯、この作品に挑みたいと思います。 千咲えみ(ちさき・えみ)

 

 舞美と2人で娘役トップを努めてきた千咲のコメントが涙で途切れ途切れになると舞美が振り返り「まだ、卒業しませんよ~」と明るく声がけする、ほほえましい場面もあった。

 

取材会のひとこま=同

 

 

本当の感謝を知って

 取材会も大詰め。

 

「頼もしい皆さんとご一緒できること、本当にうれしいな、と思いました。卒業だ!という思いではなく、今までと変わりなく、みんなで作品をつくり上げたい、その過程を大切に、皆さんとの時間を過ごしていけたらな、と思っております」と話す舞美。

 

 楊は「私はOSKに入ってたくさんの方の思いや愛を知り、感謝の本当の意味を学びました。それは、自分の財産であり、かけがえのない宝物」と振り返り、「華月くんも言っていたとおり、すごく踊りそうな公演でもあり、だれ一人欠けることなく、皆さまにパワーと楽しみをお届けしなければ、と心を新たにしました」と締めくくった。

 

 

 

 

🌸OSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」🌸
 4月6~14日。午前の部=11時開演、午後の部=15時開演。9日休演。13日15時公演は貸し切り。14日11時、15時の両公演終演後、さよならショーを上演。1等席9500円、2等席5000円。電話・Webで受け付け。チケットホン松竹、電話06(6530)0333。Webサイトは「チケットWeb松竹」で検索。
※同作品は8月7~11日、東京・新橋演舞場で「レビュー夏のおどり」として上演。また、7月13~21日、京都・南座で第2部を中心に新たな趣向を加えた公演「レビュー in Kyoto」がある。

関連記事

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド