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【ことなら'23春】奈良時代 世界遺産登録25周年・古都奈良の文化財 - 1300年の歴史しのぶ

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 710年、藤原京から平城京へ遷都して始まった奈良時代。政治や経済、文化の中心となった平城京内には多くの寺院、神社が建立された。東大寺、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡は「古都奈良の文化財」として1998年に世界遺産に登録され、今年25周年を迎えた。当時をしのばせる文化遺産を数多く伝え、観光客を約1300年前にいざなう。(写真は奈良県ビジターズビューロー提供)

 

東大寺大仏殿

 

平城京の8資産を紹介

120年ぶり五重塔修理 ~興福寺~

本格的な大規模修理工事が始まる興福寺五重塔

 

 平城遷都に伴い藤原不比等が飛鳥の厩坂(うまさか)寺を移して創建した興福寺。奈良・平安時代に権力を握った藤原氏の氏寺として発展。有名な阿修羅像をはじめ、木造金剛力士立像や天燈鬼・龍燈鬼立像など、国宝に指定されている天平時代や鎌倉時代の仏像の数々を所蔵している。

 

 国内で2番目に高い国宝五重塔は、約120年ぶりの本格的な大規模修理工事を控える。今年7月からは素屋根の建設工事が始まり、完成予定の2031年3月まで奈良のシンボルともいえる塔の姿が見られなくなる。

 

 5月19、20日には同寺と春日大社で「薪御能」がある。869(貞観11)年の興福寺修正会で演能された猿楽が源流で、野外能の起源とされる伝統行事。観世・金春・宝生・金剛の「能楽四座」による能と、大蔵流による狂言が演じられる。協賛席は前売券1人5000円、当日券1人5500円(全席自由席、1日限り有効)。

 

 

写経勧進で伽藍復興 ~薬師寺~

国宝・東塔の解体修理が終わった薬師寺

 

 天武天皇が藤原京で創建し、平城遷都に伴い現在地に造営された薬師寺。天災や戦火で建造物の多くは焼失し、再建されたものだが、創建時から唯一現存するのが国宝東塔。その美しい塔の姿に米国の美術史家アーネスト・フェノロサが「凍れる音楽」と評したとされる。

 

 東塔は2009年から12年の歳月をかけて解体修理が実施され、21年に完工。4月21〜25日に落慶法要が営まれ、28日から24年1月15日まで、東塔と西塔の初層内が特別公開される。

 

 現在の伽藍(がらん)は故高田好胤師が発願した「お写経勧進」によって復興された。1968(昭和43)年に始まり、半世紀余り。奉納された膨大な数の経巻は、金堂をはじめ復興された建物に分散して納められている。境内にはお写経道場があり、個人なら予約不要で写経できる。納経料は般若心経1巻2千円。

 

 

国家の中枢施設復元 ~平城宮跡~

平城宮跡のシンボルとして威容を誇る大極殿

 

 藤原京からの遷都で造営された平城京。その中心にあった平城宮は、政治や儀式の場の大極殿と朝堂院、天皇の住まいの内裏(だいり)、役所の業務を行う官衙(かんが)と庭園など、国家の中枢施設が立ち並んでいた。

 

 平城宮跡では復元整備が進められており、朱雀門や東院庭園、第一次大極殿などに加え、2022年3月には第一次大極殿院南門の復元が完成。門には「大極門」の扁額(へんがく)が掲げられた。今後は同門の向かって右側で、東楼の復元整備が実施される。

 

 発掘調査などの調査研究の成果は、奈良文化財研究所平城宮跡資料館や平城宮いざない館で出土資料などを並べて紹介している。

 

 

回廊彩る砂ずりの藤 ~春日大社~

春日大社の境内を彩る「砂ずりの藤」

 

 神護慶雲2(768)年、春日山の麓に造営され、参道に延々と続く石灯籠が信仰の歴史を伝える。12月に営まれる「春日若宮おん祭」は時代風俗を色濃く伝え、古都の師走を彩る。春の境内はフジが美しい。回廊内にある「砂ずりの藤」は樹齢700年以上とされ、花房が地面に届くほど伸びることから名がついた。

 

 

多様な植生残る神山 ~春日山原始林~

 古くから春日大社の神山とされてきた春日山。841(承知8)年から狩猟と伐採が禁止され、都市に隣接しながらカシやシイ類など常緑広葉樹林の原始林が守られてきた。

 

 スギやモミジの巨樹もあり、モミジなどの落葉広葉樹やツル性植物、シダ類、コケ類など多様な植生を残す。シカやムササビなども生息する自然の宝庫だ。

 

 春日山の南側一帯は奈良時代から奈良の僧たちの修行の場で石仏も多く残る。春日山原始林を周回する遊歩道や、剣豪の里・柳生につながる石畳道の「滝坂の道」は絶好のハイキングコース。四季を通じて自然や歴史と親しむことができる。新緑の春日山原始林も美しい。

 

 

鑑真和上の戒律道場 ~唐招提寺~

鑑真和上の精神を伝える唐招提寺

 

 苦難の末に渡日を果たした鑑真和上が戒律の道場として開いた寺。本尊の盧舎那仏坐像(奈良時代・国宝)をはじめ、平城宮の東朝集殿を移築した講堂、毎年5月19日に「うちわまき」が行われる鼓楼など、境内は落ち着いたたたずまいを見せる。

 

 御影堂供華園では、4月中旬ごろから5月上旬にかけて鑑真和上ゆかりの瓊花(けいか)が見頃を迎え、特別開園が行われる。境内の奥まった一角にある鑑真和上の墓所「開山御廟」も訪れたい。

 

 

庶民の浄土信仰集め ~元興寺~

元興寺

 

 前身は飛鳥に造営された国内初の本格寺院、飛鳥寺。平城京への遷都に伴って移転し、元興寺となった。奈良時代の僧、智光が自身の感得した浄土世界を描かせた「智光曼荼羅(まんだら)」が信仰を集め、平安時代から中世にかけて庶民の浄土信仰に支えられた。

 

 

 

 

 

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