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<PR>公民連携「まるごとリノベ」で再出発 - 平城・相楽ニュータウン50年

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持続可能なまちづくりを模索

 奈良市北部と京都府木津川市、精華町の2府県3市町にまたがる「平城・相楽ニュータウン」が昨年11月、まちびらき50年を迎えた。このたびまちの愛称を「高の原」とし、公民連携で再出発を図る。同地域は緑豊かな公園・歩行者専用道路、近鉄高の原駅前(センター地区)など魅力的なストックを抱えているところ。奈良市は公民連携でこうしたストックを生かして「まるごとリノベーション」を図り、新しいまちの将来像を示したい意向だ。

 

平城・相楽ニュータウンとは

 UR都市機構(当時・日本住宅公団)の大阪支所が西日本で開発した最初の大規模ニュータウン。まちびらき当初の昭和46年6月の奈良市「市民だより」には「理想都市をめざし」の見出しが躍る。


 この地区は他のニュータウンとは違う「個性」がある。ひとつは2府県3市町にまたがること。また昭和62年10月に「関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針」決定に基づき、同地区が「文化学術研究地区」に位置付けられ、住宅と文化・研究機能が混在することも他地域と一線を画す特徴だ。


 しかし高齢化や人口減少の波は個性あるこの地区にも訪れる。そこで同ニュータウンでは、まちびらき50周年を機に奈良市、木津川市、精華町、都市再生機構(UR都市機構)、関西文化学術研究都市センター、関西文化学術研究都市推進機構の6者で「平城・相楽ニュータウンパワーアップビジョン検討会議」を立ちあげた。さらに地域住民との連携を深めるため「平城・相楽ニュータウン8地区情報交換会」と協働してこれからのまちづくりを考える取り組みを進めることとする。

 

「駅前ワンストップ」を目指す近鉄高の原駅前広場のリニューアルイメージ

 

 

住み続けられる選ばれるまちへ

示すまちの将来像

 平城・相楽ニュータウンは緑豊かな公園・歩行者専用道路、高い集客ポテンシャルを有するセンター地区(近鉄高の原駅前エリア)、豊富なUR賃貸住宅、学研都市に立地する環境などハード面で活かすべき資源が豊富な地域だ。


 また住民コミュニティや団結力などのソフトの力が強いのもこの地域の大きな弾み。地域活動を支えるのは人。新たに子育て層や子どももまちの運営に意見を出す輪も広がっている。「平城+相楽100つぎの50年に向けて」では、ハード・ソフトともこのまちが有する魅力やポテンシャルを生かし、育み、発展させていくことが期待されており、「住み続けたいまち」「選ばれるまち」の実現に向け、地域の住民、活動団体、事業者の力や学研都市の立地を活かしながら、公民連携で協働し、持続可能なまちづくりを目指していく。

 

まるごとリノベーションとは

 ひとつは高の原駅前広場の再整備。ここでは「高の原らしさと暮らしの魅力発信地」をコンセプトに駅前広場の再整備を図る。緑豊かな公園や緑道を生かした場づくりや、「働」「学」、「集」、「交わり」をキーワードに地元人材や企業が活躍し、つながる仕組みを構築することなどを掲げる。

 

 昨年12月7日には日には、再整備後の高の原駅前広場での過ごし方を体感できる、社会実験「高の原びより」を開催した。今後「食・学・働・集」をキーワードに高の原駅前への機能集積をさらに強化し、「駅前ワンストップ」でさまざまな活動・体験ができる、より豊かで便利な暮らしの実現を目指していく。

 

高の原びよりは多くの人でにぎわった

 


 もうひとつの魅力は緑豊かな空間だ。


 ニュータウン全体を巡るように整備された緑道があり、個性的な公園を持つ。民間各社が行った住民アンケートでは豊かな緑地空間の存在が「住み続けたい」大きな理由となった。


 奈良市では一部の公園で公園の新しい使い方を発案・実践できる「トライアル・サウンディング」(※)を活用し、民間主導による公園の活性化を実践する。


※=公共空間のさらなる魅力の向上や活性化を図るとともに、効果的な利活用の方法を探るため、暫定利用を希望する皆様の提案を募集し、一定期間、実際に使用してもらう制度

 

 

職住近接課題解決の鍵

 ニュータウンの歴史は、高度経済成長期に伴う大都市圏への人口流入とともに始まった。大都市圏に通勤する良質な住宅供給がニュータウンに求められた役割だった。


 しかし、「オールドタウン化」で顕在化する問題は大きい。人も住宅も老朽化し、単身高齢者も多数。一部では都市圏にありながら「限界集落」化も懸念されている。


 山を切り拓き、最寄り駅から遠いところから開発を進めたことも弊害となっている。住宅が中心のまちは生活利便施設が乏しく、高齢者は利便性の高い駅前までの「足」の確保も厳しい状況だ。ある不動産会社は「山降り族が今後も増える」と表現した。


 こうした問題にアプローチするため、平城・相楽ニュータウンのように、まちの「多機能化」を進めるところがでてきている。中でも重要なテーマが「働き場所」の確保だ。コロナ禍でテレワークが一般化し、若い人ほどその意識は高い。職場をリタイアした中高年層の新たな活躍の場づくりにもなろう。


 職住近接が実現すれば、子育てや介護などの福祉が完全なアウトソーシングから、職場と家庭、福祉施設を結ぶ行き来しやすいネットワークの形成も可能となる。高齢化や子育て支援など社会保障費の増加が今後も予想されるなかで、まちづくりからこれらの問題にアプローチすることも考えたい。

 

 

市民インタビュー

 

居場所と仕掛けを

 

作間 泉さん(59)

 

 「平城・相楽ニュータウンまちびらき50周年記念事業」実行委員長。まちの愛称を「高の原」に決めた。周辺にも知名度が高く、事前の住民アンケートにも「高の原」が含まれたものが多かった。


 記念事業は県境を超えた住民同士の協力でできた。「なんとなく壁はあった」と話す行政区域の違いは、住民コミュニティにも影響していた。突破のきっかけは「居酒屋」と「キッチンカー」の企画。住民コミュニティを活性化させた。「人と人」の関係がここでできた。


 副産物もあった。リタイアした住民の中には都市整備や公園、測量などのまちづくりの「元プロ」がいることがわかった。住民主体の地域づくり計画に「根拠」ができ、「行政との交渉もスムーズにいくようになった」という。


 「少子高齢化を嘆くより、できることをやりたい」と前向き。地域のコミュニティの輪が広がる。PTAをターゲットに地域活動への参加を呼びかけたところ、母親が子どもを連れて活動に参加するようになった。子どもが企画を作る活動も始まっている。


 「大切なのは居場所づくりと仕掛け。企業は人と言われるが、まちも人でできている。笑顔あふれる楽しいまちを目指したい」。 

 


 

自分からまちに入る

 

田尻奈緒子さん(45)

 

 高の原びよりの企画運営に携わった一人。イベントに参加した8店舗の参加を呼びかけた。


 「高の原愛」が止まらない。「大型ショッピングセンターだけでなく、個性あるお店も点在する魅力的な地域。(高の原を)住んでいる人も、他地域からも愛される地域にしたい」と意気込む。


 自治会などの地域コミュニティがしっかりしている分、若い人が既存のコミュニティに入っていくことに少々の「難」あり。田尻さんは自分たちの活動に協力を求めるためにも「こちらから入っていく」ことに挑戦。地域の行事にも積極的に参加した。


 高の原と周辺地域の店舗を紹介する地域情報誌「GRATIA」を発行。「採算は度外視。地域の人のつながりに役立てば」と欲がない。それゆえ地域の人からの信頼も厚いのだろう。


 高の原びよりについて聞かれると「多くの人でにぎわった。普段関心の低い人も自分のまちを振り返るいいきっかけになった」。


 それでも「地域の持続的な活力のためには若い世代などこれまでにない新しい力が必要」と話す。ニュータウンに長く住み、まちを支えてきた世代、新しくまちに入ってきた世代。「互いの信頼関係がなにより大切」と結んだ。

 

平城・相楽ニュータウンパワーアップビジョン検討会議事務局

 

関西文化学術研究都市センター 才田浩氏の話

 

 賃貸団地再生と比較し分譲住宅地再生の難易度が高い主な理由は、広いエリア(道路、公園、広場など)でインフラの整備が必要なこと、また分譲住宅地エリアは個人が建物を所有しているため、再生が進みにくいことが挙げられる。
 再生には行政・住民が一丸となったまちの活性化と魅力維持が必要だ。平城・相楽ニュータウンではこれを模索している。今後戸建住宅地の再生には、住環境を保全しつつ住宅以外での利用を促進して行くことが重要。例えば、行政による都市計画等による規制の見直し及び緩和などの施策が求めれられていくだろう。

 

 

航空写真

 

ニュータウン模型

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