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【動画あり】進む応急保存処置 - 富雄丸山古墳の蛇行剣

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顕微鏡を使って慎重に進められた蛇行剣のクリーニング作業(県立橿原考古学研究所提供)

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 奈良市の日本最大の円墳、富雄丸山古墳(4世紀後半)から出土した蛇行剣。当時の鉄製剣としては東アジア最長の全長2.37メートルに及び、極めて重要な考古資料として、県立橿原考古学研究所(橿考研)と奈良市教育委員会は共同で応急的な保存科学的処置を進めている。発掘調査現場から周囲の土ごと取り上げたことで、剣の外装に関する新たな情報も明らかになりつつある。

 

 蛇行剣は昨年12月、アクリル樹脂やガーゼで補強し、発泡ウレタンで周辺の土壌ごと固定して取り上げられた。今年1月に橿考研へ搬送され、透過エックス線撮影で一本の蛇行剣であることが確認された。

 

 その後、処置前の3次元形状計測や顕微鏡を使った状況確認などをし、4月6日からクリーニング作業を開始した。顕微鏡で拡大観察しながら、剣の表面に付着した土やさびを除去。筆で有機溶剤をつけて土を軟らかくし、竹串や針、ピンセットなどを用いてミリ単位で慎重に取り除く作業が続いた。実働数33日間をかけ、剣の上面の応急的な保存科学的処置を完了した。

 

 これまでの観察や科学分析の結果、鞘(さや)は木装で、柄(つか)頭や柄口、鞘口、鞘尻には漆膜があり、漆の表面には赤色顔料(辰砂)を確認できることが分かってきた。

 

 今後は剣の上面を固定して反転させ、下面のクリーニング作業に取り掛かる。橿考研の奥山誠義総括研究員は「下面は土が多く付き、見えない未知の部分も多い。上面より時間がかかるだろう」として今秋末ごろまでの作業を見込む。

 

 岡林孝作・学芸アドバイザーは「周囲の土も一緒に取り上げたことで、屋外では不可能な発掘調査の延長のような作業ができ、結果として鞘や柄の状況が明らかになりつつある」と述べ、「異なる調査研究機関で考古学と自然科学の分野が協働している点が画期的」と意義付ける。

 

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