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金曜時評

地域FM局への期待 頼りにしてまっせ - 編集委員 松岡 智

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 能登半島地震をはじめ国内外で大規模災害が多発している。災害時には命を守り、復旧・復興に向けた正確な情報が求められるが、被災住民らの貴重な情報源として見直されているのがラジオだ。地域密着の放送局では多言語に対応する局もあり、多様な被災者の心のよりどころにもなってきた。

 

 今春、県中部に新たなコミュニティー放送局「FMまほろば」(田原本町)が開局した。県内5例目の地域FM局で、県内初の公設民営。もともと災害発生時に必要とされる正しい情報を、自治体と連携して地域住民に発信する目的で開局が進められた。万が一の際の心強い情報発信拠点として期待がかかる。

 

 ただ、災害時に頼りにされるには、聴取エリアの人々に日ごろから放送局や通常番組に親しんでもらっていることが大事になる。各地域FM局とも腐心していることだろうが、日常生活で流し聴きされる身近な存在となるための不断の魅力づくりが求められもする。

 

 そもそもの部分では聴取方法の周知がある。難聴取地域を補うインターネットラジオの普及でパソコン、スマートフォンでの聴取者が増えた。多くの地域FMがインターネットの「サイマルラジオ」で聴けるが、こうした方法があることの広報も欠かせない。いざというとき聴けなければ、せっかくの情報が生かせないことになる。

 

 南海トラフ地震などの広域災害では、地域ごとの濃淡はあれど、県全域が被災地になる可能性もある。関係者によれば、県内各地域FM局の横の連携は現状はさほど密ではないようだ。各局が各地の最新情報を共有し、必要に応じて地元の人々に発信することが県全体の減災につながることも十分考えられる。最近の災害では事前に検討、準備していた事項、対応は災害直後から有効に機能した。どのような場合にどんな協力ができるのか、平時に関係を築いておくことは決してむだにはならない。

 

 近年、被災地ではSNS(交流サイト)などでの偽情報の発信、拡散がたびたび起こり問題視されている。だからこそ災害時に地域住民に寄り添い、あすの生活のための有用な情報を提供してくれる地域FM局の存在意義がさらに高まるのは疑いがない。

 

 奈良は災害の少ない地域とみられてきた。災害発生時に市民や来県者の助けとなる体制づくりが整えば、真に災害に強い場所として認知されるに違いない。その一翼を担う地域FM局に寄せられる期待は決して小さくない。

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