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賃金減に苦しむトラック輸送業界 価格転嫁の許容など意識改革を - 奈良経済をつかむ(21)

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 トラック輸送業界では、2024年4月1日から年間の時間外労働時間の上限が960時間までに規制された「2024年問題」への対応が課題となっている。これによってドライバー1人当たりの労働時間が短縮される。働き方改革を促進するという観点からは、労働環境の改善や物流業界のイメージ向上などが期待され、中長期的には有効な施策であるといえる。

 

 トラック輸送は日本の貨物輸送の9割以上を担っており、企業間の商取引に関するものから消費者への宅配まで、物流システムには欠かせない存在として経済活動を支えている。しかし、近年のトラック輸送業界は人手不足やドライバーの高齢化、燃料コストの上昇などさまざまな課題を抱えており、今回の「2024年問題」は輸送力の低下などで一時的にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。

 

 長距離輸送を手掛ける運送業者にとっては、ドライバーの走行距離が短くなり1日で運べる荷物の量が減り、輸送日数がこれまでより余分にかかる可能性がある。また、ドライバーの労働時間減少で賃金が減り、稼ぎたいという人材は集まりにくくなる。

 

 「荷主に運賃の10%値上げと往復の高速料金を支給してもらえるように交渉したが、約5%の値上げと往路のみの高速料金しか認められなかった。ドライバー不足解消や安定雇用を続けていくために賃上げをしていかなければならない。その原資となる運賃の適正な値上げを認められないと収益悪化で事業継続が困難になることもありうる」(奈良県内運送業者)。

 

 帝国データバンクが3月に実施した「価格転嫁に関する実態調査」によると、「一般貨物自動車運送」の価格転嫁率は25.4%で、全業種平均(40.6%)を下回る結果となった。

 

 課題解決には、運送業者は輸送効率化や生産性向上などに取り組むことが求められる。また、荷主企業も運賃値上げを一定程度まで許容し、消費者も宅配の輸送日数が長期化することや配送料金上昇を受け入れるなどの意識改革が必要不可欠だ。(帝国データバンク調査課 碓井 健史)

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