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不登校の低年齢化 - 不登校に向き合うvol.8

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※画像はイメージ

 今、全国の国公私立小中学校で不登校の児童生徒が急増しています。奈良県内でも同様です。新型コロナ以前から増え始めていましたが、加速しています。その理由の一つとしてコロナ禍による、生活環境の変化が子どもたちの人間関係や精神状態に影響を与えているといわれています。また不登校の低年齢化も進んでいると言われています。低学年の不登校で注意すべきこと、気を付けたいことなどを紹介します。

 

 

ー不登校の低年齢化

 

 日本国内で新型コロナウイルス感染症が流行し始めたのは2020年1月。当時年長クラスにいた子どもたちは、現在小学3年生です。この子どもたちを含め、低年齢の子どもたちはコロナ禍で触れ合うという行動が極端に制限される環境で過ごしてきました。

 

 低中学年の子どもは、不安や危機感を感じると親や先生などアタッチメント(愛着)のある大人に抱きついたり、不安なことを話したりして、『安心』や『いやし』を得ることが大切です。

 

 しかし、触れ合うという行動が極端に制限されたことで、安心を得る方法が奪われてしまいました。これが“生活環境の変化が子どもたちの人間関係や精神状態に影響を与えている”こととなり、不登校の低年齢化に繋がっているとも考えられています。

 

 また、子ども同士の触れ合いも制限され、マスクで相手の表情が見えないことから、子どもたちの人間関係の形成力が弱まっているとも言えます。さらに親が感染不安を感じながら学校へ送り出していることも、子どもたちは敏感に感じ取っています。

 

 このような制限ばかりの環境にある学校は、子どもにとって不安を感じやすい場所であることをまずは理解しましょう。

 

 

ー“主張できない”という心の負担

 

 子どもは本来「欲望」のかたまりです。しかしコロナ禍により「友だちと遊びたい」「外に出たい」「おしゃべりしたい」「触れてみたい」「やってみた」などの欲が出せなくなり、締め付けられた状態になっています。また子どもたちは、大人の様子をよく見ているので、やりたいと思っていても「ダメと言われるに決まっている」と感じ、自己主張できない状態になっています。

 

 放課後遊びの制限もその一つです。学校が終わってからのびのびと友だちと遊んでいましたが、外出自粛により学校以外の外出は制限され、「どうせ遊べない」と、子どもたちは意欲を失ってしまいました。

 

 この欲を出せない状態が、より一層子どもの心に負担をかけることになってしまい、「学校に行きたい」という気力や意欲も失われてしまったと言えるでしょう。

 

 

ー不登校は誰にでも起こること

 

 「学校に行きたくない」と子どもが言い出したとき、絶対にしないでほしいことは「引きずっていく」「いかないとダメになる」「社会で生きていけない」など、脅してでも説得して学校に行かせようとすることです。「学校に行きたくない」という気持ちは学校などで不安を感じ、安心を得ようとアタッチメントを求めている状態です。

 

 幼児期には親が受け入れてくれていたアタッチメントが、小学生になったとたんに突き放されてしまった時の子どもの心を想像してください。最悪は親子の信頼関係が崩れてしまう可能性があります。まずは、子どもの不安を解消するため、同室登校や短時間登校、別室登校などから始めてみましょう。それらもできない時は、家でゆっくりすることからスタートしてください。

 

 「子どもは子どもといるのが一番」と考えがちですが、子どもの社会は実は結構容赦のない世界です。すでに不安を抱えている子どもにとっては、容赦ない環境に朝から夕方までいることはとても精神的負担です。担任の先生も無理に親子を引き離すようなことはしないでくだい。子どもが自分自身で親から離れる時を見守ってください。

 

 

ー学習の遅れに対する不安

 

 親が無理にでも学校に行かせようとする最大の要因は「勉強が遅れてしまったら大変」と考えるからでしょう。確かに、同級生は学校の授業以外にも、毎日の宿題でドリルやプリントに取り組んでいて、取り残されているように感じ「勉強させなきゃ」と不安にかられてしまいます。

 

 しかし、心のエネルギーの低くなってしまった状態で勉強するとますますエネルギー切れを起こしてしまいます。まずは、「心のエネルギーをためること」が先決なのです。

 

元気になれば「やってみたい」という気持ちが出てきます。心が元気になってから、子どもが楽しみながら学べる環境を模索してあげてください。

 

 

ー「不登校=悪い」ではない

 

 子どもが学校へ行かなくなると、親は「自分の育て方が悪かったのか」と自信を無くしてしまうことがよくあります。そして「この子のためにも、〇〇すべき」「この子には〇〇してほしい」という親の願いのもとに、何とか学校に行かせようと必死になります。

 

 でも、子どもは、本当は学校へは行かないといけないと考えているのです。ただ、動けないだけなのです。その動きたくても動けない気持ちに寄り添ってあげてください。「学校に行かないと大変なことになるよ」「社会に出られないよ」と言って説得したり、説教したりしないでください。

 

今は、家の中で楽しく過ごさせてあげてください。家の中を楽しくさせると学校には行かないのではないかと考えられるかも知れません。しかし、子どもは親と楽しく遊んだり、話したりする中から心のエネルギーをためていきます。その心のエネルギーがたまってきたら、必ず動き出すのです。親子関係や家族関係を見直すチャンスであると考えてください。

 

 

【取材協力】

奈良教育大学ESD・SDGsセンター

子ども・若者支援専門職養成研究所

研究部員 櫻井 恵子先生

 

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問い合わせ:sakurai-keiko@cc.nara-edu.ac.jp

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